ははこ助産院はこの夏で10周年を迎えました。
一緒に助産院を盛り立ててくださった「ははこサークル」の講師陣
病院の勤務助産師だった私は、1993年今から約30年前、第一子の長女を出産しました。
このときの出産育児の経験から、いつか母乳育児サポートと親子の集いの場となる助産院を開くということが目標になりました。
病院の中の母子しか知らなかった私は、自分自身の育児を通して、また地域で仕事をすることで、退院後の母子の生活の現状を知り、育児のしんどさと孤独感を少しでも和らげたい、泣いているあかちゃんを目の前にして、途方に暮れている母親をなんとかしたいと思ったのです。
そして約20年後の2014年に、ようやくその夢が現実となり、ははこ助産院を開院しました。
開院当時の助産院
私が考えていた以上に母乳授乳育児に困っている方が多く、この10年間でのべ10000件以上の相談をお受けしました。年間1000人を超え、1ヶ月に100人以上のご相談を受けることもまれではありません。
また、妊婦さんから産後の親子が一緒に楽しめ、気軽に集える場所を目指し、「ははこサークル」や「おしゃべりカフェ」を開催しました。
講師の先生方の協力で、ママがリフレッシュでき癒しの時間になるように工夫していただき、毎年のべ2500組以上の親子が遊びに来てれて、毎日賑やかな助産院になりました。
それだけ、妊婦さんから産後の親子が集える場所が求められているのだと改めて感じました。
ベビーマッサージ
2019年5周年の記念に「ははこピクニック」という感謝イベントを開催し、996名のご参加があり、想定以上のご参加にびっくり!
地域に根差した助産院になりつつあることがとても嬉しく思いました。
ははこピクニック
そして、その直後にコロナがやってきました。
こんなしんどい状況のときこそ、助産院に来てもらいたいのに、それができないもどかしさでいっぱいでした。
しかし、母乳外来は制限することなくお受けし、コロナ前と変わらず、たくさんの母子が相談にお越しくださいました。
おっぱいの困りごとはコロナは関係ないですからね。
ははこサークルは一時お休みしましたが、オンラインでできるように工夫し、たくさんの親子に参加していただきました。
画面の中でも、お顔を見てお話しできることの大切さを実感できました。
昨年2023年、ようやく少しずつ落ち着きを取り戻し、「ははこサークル」や「おしゃべりカフェ」などのイベントをコロナ前のように開催でき、賑やかな声が戻ってきました。
おしゃべりカフェ
そして今年2024年、開院から10年が経ちました。
10年ひと昔と言いますが、10年前とは母子親子を取り巻く状況の変化、その上で助産師として何を必要とされているのか、母親のニーズ、社会のニーズも少しずつ変わってきているように思います。
そこで、この10周年をひとつの区切りとして、「ははこサークル」を終了し、新たに「産後ケア(日帰り型)」を始めることにし、助産院を新装オープンしました。
育児で疲れた心とカラダを少しでもリフレッシュして元気になってもらいたいと、集いの場を作ってきたのですが、思いは変わらず手段を変えようと思ったのです。
「集いの場」ではなく、「ゆっくり休む場所」=「産後ケア」に舵を切りました。
産後ケアルーム
「ははこサークル」の終了を惜しむ声をたくさんいただいたのですが、この決断には、当たり前ですが、私自身が10才歳をとったことと、コロナの3年間の影響がなかったとは言えません。
(ははこ撮影会とリフレクソロジーは継続します)
予想以上に産後ケアのニーズは高く、2ヶ月先まで予約がいっぱいという状況で、今後もう少し受け入れられるよう、さらに改善していかなければならないと思っています。
もちろん母乳育児相談は今までと変わらず、続けています。
産後ケアの日は母乳外来をお休みしているので、ご迷惑をおかけしていますが、できるかぎりご相談をお受けしようと思っています。
母乳育児相談
こうやって10年間を振り返ってみるとあっという間だったような気がします。
子育ての不安や辛さを少しでも和らげたい
ラクに楽しく母乳育児をスタートしてもらいたい
10年経ってもこの先も、ずっとこの思いは変わりません。
ははこ助産院は、これからも、
「ここに来ればなんとかなる」「この人に聞けば安心」という場所、 人でありたいと思っています。
現状に満足せず、常にアップデートしながら、あと10年は続けられるように頑張ります!
今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
ははこ助産院
岡本千加